2015年03月08日

佐賀へ

先月半ばに佐賀へ行き、コメダ珈琲店に寄った際に気になるポスターを見かけた。佐賀交響楽団定期演奏会のお知らせである。曲目はワーグナーの楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕への前奏曲、珍しいハイドンのトランペット協奏曲、そしてドヴォルザークの交響曲第7番。
そういえば久しくクラシックの、殊にフルオーケストラの実演にも接していないな、と思った。帰りがけレジの前にチラシがあったので、参考にと1枚貰って店を出た。
それからずっと頭の片隅にそのことがあって、しかし最近まで今月の仕事の勤務指定がわからずにいた。日曜日は出番であることが多いので、余り期待は持たずにいた。
けれども先月末に漸くシフトが明らかになって、見ると丁度当日が非番になっている。おかげで今日、無事佐賀まで駆けつけることが出来た。実はいささか寝坊気味だったが、幸い家人も今日は休みで、珍しく高速道を飛ばして佐賀まで付合ってくれた。

会場は佐賀市文化会館。日曜日の為か開場が13時30分、開演は14時と早めである。
佐賀へ〜20150308壱
開場の時刻よりは少し遅れて、しかし演奏が始まるまでには充分間に合って、コンサートは聴かず佐賀の街散策を楽しむという家人とは後程待合せることにして、当日券を買い場内へ。駐車場はほぼ満車に近い感じだったが、客席には随分余裕がある。1階席にも空きはあるが敢えて2階へ上がった。久々のクラシックコンサートで緊張も少しあり、空いている最後列で寛ぎながら聴くことにした。


佐賀交響楽団 第38回定期演奏会

2015年3月8日(日)
佐賀市文化会館大ホール

ソリスト:金丸響子(トランペット)
指揮:今井治人

ワーグナーの楽劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕への前奏曲。
冒頭の和音と各声部の進行から力強く、明快なこの作品。途中調整の崩壊してゆく箇所もあるが、それすら確信を以て描かれる。正に勝利の音楽。実は実演では殆ど聴いたことがなく、今回殊に楽しみにしていた。
アマチュアのオーケストラにありがちな、抜けの悪い籠った音をしばしば感じるのが残念だが、楽曲は演奏を凌駕する。そんな好例だった。木管楽器が終始安定していたのも、この曲の中盤など実に活きていたと思う。歌劇、楽劇を問わずワーグナーが描いた全音符の中で最良の成果のひとつがここにある。某音楽評論家の決め台詞ではないが、聴いていて文字通り「目頭が熱くなった」。

実に不勉強ながら、続くハイドンのコンチェルトは初めて聴く曲である。知らずに聴いたらモーツァルトかと思う様な心弾む旋律に溢れているが、忽ち別世界へ飛んで行ってしまうのではなく楽想を吟味しながらじっくり展開する処がハイドンらしさか。
ソリストの金丸響子史は佐賀出身のトランペッターで、或いはこれが凱旋公演であるのだろうか。柔らかな音色を持ち、高音部は時として木管楽器を思わせる響きが独特である。ワーグナーに比べ小編成でのアンサンブルがソロ楽器を引立たせながら、決して只の脇役としての伴奏ではなく対等に会話し合い豊かな音楽的感興を生み出しているのが印象的だった。

約15分の休憩を挟み、メインプログラムはドヴォルザーク。
今回のこの、第7交響曲というのが少々ユニークな選曲である。よく知られる第9番(“新世界より”)或いは『イギリス』としばしば呼ばれる愉悦に満ちた第8番ではなく、確かにドヴォルザークの後期3大交響曲と呼ばれてはいるが、7番は愛称で呼ばれることもなく出番もやや少ない。しかし楽曲として劣っているかと云えばそんなことはなく、旋律美の大家であるドヴォルザークらしい魅惑のメロディーに満ち、8番よりも重厚で、構成の点では9番よりも整っている。まとまりが良過ぎてやや地味な点を除けば、ドヴォルザークの最高の作品のひとつであることは間違いない。
弦楽と金管楽器による第1楽章冒頭、ミストーン等もありやや乱れてしまったのが残念。演奏全般を通じて、木管楽器に比べ弦楽器は音が籠り気味であり、金管楽器は音程の維持に苦心している様に聞こえた。ティンパニ奏者は出過ぎず、常に全体を考えながら実に適切であるが、時にはバランスを無視して突抜けても良かったかと思う。良い意味でそれが他のパートの刺激になることもある。
曲頭いささか靄々としてしまったが、演奏が進むにつれ内圧が高まってゆく様な緊張感。籠った響きが次第に開かれてゆく。楽音に歓びが漲ってゆくのがわかり聴いていて慄えた。職業音楽家と違い、たったひとつの演奏会に向けて培ってきた情熱が全て注がれ、花開く。私も嘗て同じ立場にいたから、その歓びが身にしみる。
指揮の今井治人氏は佐賀大学の文化教育学部准教授とのことだが、技術的に万全とは云えないアマチュア・オーケストラから楽員達の自覚を喚起し、大ホール最後列までもダイナミックに伝わる響きを引出したその手腕は敬するに価する。


終演後、佐賀のゆめタウンにいるという家人と合流し、店内での買物と食事をした。
佐賀へ〜20150308弐
コメダ珈琲店にお礼参りに行きたい処でもあったが満腹になり過ぎ、断念。その代りではないが帰途に寄ったスーパーでさがほのかとチョコショートを買い、帰宅して夜のティータイム。さがほのかは酸味控え目で糖度が高く、何もかけたりつけたりする必要のない美味しい苺。チョコショートも正にチョコレートケーキの王道を行く味で、頗る満足した。

佐賀へ〜20150308参

posted by 紫乃薇春 at 23:25 | Comment(0) | 音楽

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