2012年12月31日

大晦日

北風が強く、時折小雪の舞う大晦日である。
この師走は月初から気温の波が激しかったが、クリスマスの頃に一際底を這う様な寒波が押寄せ、一時は薄らと冠雪する程の雪が降った。それでも殆ど積もらぬ内に止み溶けてしまう辺りが九州なのだが、東日本や列島北部では断じてロマンティックではないホワイト・クリスマスを迎えた地域もあった様だ。クリスマスを過ぎて数日の間は気温が上昇傾向にあり、日中は薄手の上着でもさして寒い想いをせずに過ごせたが、昨日からまた急激に下降し始めて、今日は分厚い外套を纏っても尚他に暖房器具が要る程に冷込んでしまった。

月の半ば以降は当然の様に慌ただしくなり、今年は髪を切りに行く日もなかった。クリスマスもそうした日常の内に過ごしてしまったが、夜になって思い立ち街のイルミネーションを観に出掛けた。先月の下旬から灯された佐世保市内の公園の電飾はその晩も綺麗だったが、前の国道を通る度に否応なく目にするもので少々見飽きた感がある。寧ろより寒さを味わう破目になった。
クリスマスを過ぎてから漸く本腰を入れて年賀状に取掛かり、いささか遅れ気味ながら喪中の知らせをを受取った以外粗方の知人宛に投函を済ませた。いつ頃からか事前の配達準備というのをしているそうで、昨日になって一通還付があった。どうしたものか迷う処ではあるが、住所不明等でまだ出せていない分と共にこれから考えよう。

この日中は晴れ間が覗き陽射しも気後れ気味に顔を出したが、気温は一向に上がる素振りを見せない。風も止まず、少し翳ると風花の舞う大晦日である。元日の明日は今日より幾分気温が緩むそうだが不安定な天気は変らず、明け方から雨が降るらしい。
個人的なこの後の予定は自宅で年越し蕎麦を食べてからハウステンボスに出掛け、カウントダウンと年明けの花火を観る。その足で佐世保の亀山八幡宮に初詣。出来れば春日神社や福石の観音様にもお参りしたいが、バテるのと雨が降出すのとどちらが先だろうか。

決して好調とは云えない一年だったが、どうにかまた無事に年を越せそうでホッとしている処。
ともあれ、皆様には良いお年を。来る年が行く年より僅かでも希望のある年となることを願って。

大晦日〜20121231
posted by 紫乃薇春 at 16:42 | Comment(0) | 日記

2012年12月30日

夕景〜12/30

夕景〜20121230

師走も押迫って、残すところ今日を含めてあと二日。昨日予定通りに振舞えなかった分、今日はいささか慌ただしく外出し動いた。
どちらに行っても人や車の群れで混んでいる。煩わしさもあるけれど、これがまた歳末の醍醐味でもある。
posted by 紫乃薇春 at 22:26 | Comment(0) | moblog≪夕景≫

2012年12月29日

土ドラ♯13

本日最終回のドラマ『高校入試』を観る。
第1回から偶然観始めたが、当初は他の作業をしながらBGV代りにしていた。が、何となく画面に注目していたら意外な程面白い。結局、翌週以降も欠かさず観続けてしまった。

今し方その最終回が終り、結末はそういうことなのかと思った。意外な結末とは。
ネットの某掲示板では恐らく、回収し切れていない点があるとして不満を漏らす人もあることだろうが、ズボラな私は余り気にしない。ただラストシーン、同一の学級に合格した主要な受験生(新入生)三人が全て揃っているのは偶然が過ぎないか?と感じた。
その辺りは所詮ドラマなのだろう。
posted by 紫乃薇春 at 23:58 | Comment(0) | 日記

2012年12月28日

夜景〜12/28

夜景〜20121228

予報通りに昨夜半過ぎから降出した雨は、しかしまた予報通りに夕方までには止み急速に回復した。
時折雲が蔓延るものの、大分満ちてきた月が眩しく照らす。
この年末年始はやや乱れた天気に弄ばれそうだ。
posted by 紫乃薇春 at 23:05 | Comment(0) | moblog≪夜景≫

2012年12月27日

反転

反転〜20121227

ガラス越しの冬時間。
posted by 紫乃薇春 at 23:49 | Comment(0) | 写真館

2012年12月26日

夕景〜12/26

夕景〜2012126

クリスマスも過ぎて、後は日常のまま年越しまで進んでゆきそうな気配である。
posted by 紫乃薇春 at 22:27 | Comment(0) | moblog≪夕景≫

2012年12月25日

聖夜

何ら変りない日常の瞬間の寄せ集め、ではあるが

聖夜〜20121225

―Merry Christmas.
posted by 紫乃薇春 at 23:53 | Comment(0) | arts

2012年12月24日

Eve

昨日降り始めた雪は、夜半過ぎには一時薄らと積もる程の大雪となった。

Eve〜20121224

このまま降り続ければ或いはこちらもホワイト・クリスマスとなったかも知れないが、未明までには止み、今日は日中しばしば晴天に恵まれた。

Eve〜20121224

ホワイト・クリスマスといえば一見綺麗な響きだが、東北や北海道辺りでは毎年当り前の出来事なのだろう。寧ろ偶には雪のないクリスマスを過ごしたいと思う人もいるに違いない。

晩はイタリアンの出前と、赤・白・緑のクリスマス・カラーをイメージしたスープ。
ドラマの最終回を観てささやかに過ごしたが、明日は少し華やぐかも知れない。
Eve〜20121224
posted by 紫乃薇春 at 22:52 | Comment(0) | 日記

2012年12月23日

無題

無題〜20121223

予報ではこの冬一番の寒さ。実際一歩外に出ただけで指先や頬のこわばり方が違う。風もそこそこ強く、10分程屋外にじっとしていたら凍りつきそうになった。
これもまた予報通りに日中微かに雪が舞い、見え隠れする陽射しに白く濁っては消えていった。夜には幾分降りが強くなり、まだ積もる程ではないがこれから一層冷えそうだ。明朝或いは久々に、ホワイト・クリスマスとなるかも知れない。

無題〜20121223
posted by 紫乃薇春 at 22:23 | Comment(0) | moblog≪空模様≫

2012年12月22日

ギフト

道の駅吉野ヶ里から本日、「栄西茶セット」が届いた。

栄西茶セット〜20121222

この夏から秋にかけて催されていた九州道の駅スタンプラリーの応募景品が当たったらしい。今回巡ったのは長崎の彼杵の荘、さいかい、夕陽が丘そとめ、昆虫の里たびら、松浦海のふるさと館と佐賀の山内、伊万里、鹿島、太良そして吉野ヶ里の10ヶ所。スタンプを5個づつ集める毎に希望の道の駅の景品に応募することが出来るもので、この吉野ヶ里と山内だったか、或いは伊万里だったか個人的に良さそうだったので投函しておいた。実はもうすっかり忘れていたのだが、いざ届くとやはりとても嬉しいものだ。
この栄西茶というのは、臨済宗の開祖・栄西が中国から日本に初めてお茶を持込んだとされる説に因み、持ち帰った茶を最初に植えたのがこの吉野ヶ里付近だったのではないかと云われることから名がついたらしい。由緒を感じる?お茶だが味の程はどうか。楽しみである。
他にお茶のペットボトル入り3本とお米、お茶を使ったケーキ、生姜糖等色々と入って楽しいセット。一通り味わったら吉野ヶ里までお礼参りでもしてみるか。美味しいお茶なら今度は買ってみたいとも思っている。
posted by 紫乃薇春 at 22:14 | Comment(0) | 日記

2012年12月21日

冬至

本日12月21日は冬至とのこと。

冬至〜20121221

毎年夏至や冬至は何かしらイベントがありそれとなく意識しながら過ごしているが、今年は黒百合姉妹のライブが11月中だったり、例年以上に難航している年賀状作成に気を取られたりしていて当日まで気づかずにいた。
生憎の雨で気分も乗らないが、夕方近所のスーパーで柚子と南瓜を買ってきた。南瓜は隠元豆と共に煮付けて貰い、柚子はこの後お風呂に入れよう。

冬至〜20121221

冬至〜20121221

ところで、今日のこの日に世界が滅びるという説が一部でまことしやかに蔓延っていた。信じる訳ではないが、中には無理やりそれを現実にしようと無差別に振舞うおかしな考えの人がいないとも限らない。用心するに越したことはないと今夜は意識して早めに帰宅した。
予定の時刻は日本時間の20時とのことだが、その頃は気にも留まらぬ内に過ごした。少し離れた街中で火事の報を聞いたが、すぐに鎮火した模様。今現在まだ何も起こる様子はない。
posted by 紫乃薇春 at 22:34 | Comment(0) | 日記

2012年12月20日

夕景〜12/20

夕景〜20121220

夕方街に出て私用を済ませ、少し郊外へ出た処で急な渋滞に立往生。どうやら大きな事故があったらしい。
現場はまだ生々しく数台の事故車両が残されていたが、関係者の方々は皆無事だったろうか。救急車の去るサイレンが鳴っていた様だけれども。
posted by 紫乃薇春 at 22:36 | Comment(0) | moblog≪夕景≫

2012年12月19日

島瀬夜景

島瀬夜景〜20121219

こちらも聖夜を待ち侘びて。
posted by 紫乃薇春 at 23:17 | Comment(0) | moblog≪夜景≫

2012年12月18日

ハウステンボス夜景

この冬幾度目かのハウステンボスにて。

HTB〜20121218

夥しい電飾を見る度来る聖夜への期待が高まるが、今年もまた人に車で溢れ返るのだろうか。
敵前逃亡宜しく中途で引き返した昨年の記憶が蘇る。
posted by 紫乃薇春 at 23:50 | Comment(0) | moblog≪夜景≫

2012年12月17日

晩餐

カリー〜20121217

当初はシンプルな野菜スープの筈が、余り物のブイヨンを加えたらカレーが食べたくなり結局そちらに。
急な方向転換の割には美味しく頂けた。
posted by 紫乃薇春 at 23:27 | Comment(0) | その他

2012年12月16日

ソライロの日 2012年12月

2012年12月16日(日)16時16分のソライロ。

ソライロ〜20121216空

12月も半ばだが、寒いという程寒くはなく、「肌寒い」程度の今日の気温。
終日晴れの予報ながら、この時間帯は北国の冬を想わせるが如くどんよりくすんだ空であった。

投票を済ませ、付近の広場で暫く佇んだ。

ソライロ〜20121216樹
posted by 紫乃薇春 at 20:28 | Comment(0) | moblog≪空模様≫

2012年12月15日

明日は多忙

明日は多忙〜20121215

助長する様に今し方まで街宣車から呼び声がしていた。
明日は空を見上げて、葉書を握って、買物籠をぶら下げて。
posted by 紫乃薇春 at 22:03 | Comment(0) | 日記

2012年12月14日

バイオパークにて

2012年12月13日(木)撮影分。
(一部閲覧注意)

バイオパークにて〜20121213-1214

残りを見る
posted by 紫乃薇春 at 22:31 | Comment(0) | 写真館

2012年12月13日

師走のバイオパーク〜ハウステンボス再び

師走も中旬。慌ただしい筈がそうでもないのは、景気が依然底這いに弛んでいる所為か。
午後からの空いた時間、西海市のバイオパークへ出掛けた。一昨年また昨年と足を運んでこれで三度目。良い造りの動物園なのでもっと足繁く通いたい処だが、仲々思うに任せない。過去二度とも翌年の干支を求めての訪問で(…いや、今年の干支は辰なので別に用事があったのだと思う)、偶にはこれといった理由なく訪ねてみたいけれども、岩国だとか沖縄の様に顕著な種のいる土地を探ってみたいと思いながら無精をしている内に年の瀬を迎えてしまった。

昼下がり。平日のバイオパークは寂しいくらいに空いている。人気があり常に混んでいる印象のあるカピバラの周りも今日は余り人影がない。
この季節名物の様になっているカピバラの温浴に、過去二度とも見逃したが今回はどうにか間に合った。残念ながら首から下をすっぽりと浸かり、顔と前足だけをちょこんと覗かせるテレビやガイドブック等でお馴染みの姿は殆ど見せてくれなかったが(そもそも露天風呂の中でのカピバラは座すのではなく、間近で見ると踏張る様に四足で立っていることが殆どである)打たせ湯に目を細める大中二頭のカピバラと、温水と戯れる恐らく今年生まれたばかりのカピバラの子供の様子を見て和まされた。
カピバラ〜20121213
家人は何度見てもカピバラの可愛さがわからないというが、気性の穏やかさと相俟って現在動物園で主に目にすることの出来る動物達の中でも指折りの癒し系だと思う。中には噛みつくことのある気の荒い者もいるというが、バイオパークではそういう個体は別柵で隔離されている。

来年の干支の生き物はカピバラの池よりも手前、レストラン「ケーナ」と山羊達が放牧される牧場の脇に建つ「ペットハウス」の奥部屋に数種類、個々の水槽にて飼育されていた。パイソンやコーンスネークの類が見られたが、バイオパークのサイトに載っていたお目当てのカリフォルニアキングスネークアルビノ種は何故か見当たらなかった。飼育の内訳が変ったのだろうか。
ひとまず今いる種を収めておこうと思ったが、殆どが夜行性なのかケージの隅にいるかいないかわからない様な呈でうずくまっていて絵にならない。辛うじて一匹だけ、此方の様子を伺いながら元気に蠢いているのを追った。
彼等のケージのある奥部屋は猫部屋になっていて、イエネコが数匹寛いだりはしゃいだりしている。嘗て実家では猫と寝食を共にしたくらい猫好きの私としては、猫不可の現在の環境に満たされない想いを抱いていたこともあり天国の様な空間だった。ドリンクサービスがあれはまるで猫カフェの様な雰囲気だが、用を済ませて退出しようとすると殊にやんちゃな一匹がすかさず扉の前にすり寄ってくる。猫は逃がさない様にという旨の貼紙が見えるので、暫く出るに出られず困った。物欲しそうに見上げられ苦笑いを浮かべている処に他のお客が入室し、猫がそちらに気を取られている隙にそそくさと部屋を出た。

今回バイオパークではもう一種、お目当ての動物がいた。この夏埼玉のこども動物自然公園から連れてこられたばかりのアミメキリン(ニック・♂)が既に公開されていると聞き、会ってみたくなったのだ。
飼育エリアは巡回式の広い園内の後半、「ダチョウとシマウマの見える坂道」の柵内で、来園記事以外はまだ公式サイトにも詳細が載っておらず(本当にいるのか?)と心配になったが、レッサーパンダの丘から続く坂を下る途中でちゃんと公開されていた。
アミメキリン〜20121213
キリンが来た為か柵の造りが変り、人の立入れる場所が以前来た時よりも狭くなっていた。ダチョウとシマウマは同じ枠の中で仲良く棲分けているが、キリンは背が高い分より危険だからなのか、それとも来園から日が浅くまだ慣れていない所為か一頭だけ隔離されていた。人が通りかかり見物の為立止まっても興味なさそうに尻を向け、柵の中の岩肌に生えた草を食んでいる姿は何処か淋しく見えたが、家人が一言「ニック」と呼掛けると途端に振向き寄ってきて、自身の愛称を彼なりに認識している様子が窺えた。

過去二度よりは早目の時間に訪ね、足早にならず見て巡れるだろうと思っていたが、ペットハウスやカピバラの池で費やす時間が殊の外長かった所為で後半は結局急ぎ足になった。リスザルがこの日は健康診断とのことで非公開だったが、もし開放されていたとしても寄る時間があったかどうか。フンボルトペンギンやフラミンゴなど目立つ可愛さや色彩を持つ鳥のエリアも、以前よりはむしろあっさりと通り過ぎてしまった。
今回初めて場所のわかった昆虫館にも立寄らずに来てしまったが、外国産のヘルクレスオオカブトムシやニジイロクワガタ等甲虫にも興味があるので次回は寄る時間を設けたい。

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夕方、バイオパークから五日振りのハウステンボスへ。こちらも、今は夜間が見物だが平日はいささか閑散としている。
バイオパークを出てから飲食店にも寄らず真直ぐ移動したので、ひとまずドムトールンに行き腹を満たした。

食事処を出てアートガーデン側に出ると、外はすっかり暗くなり光の園が一面に広がっている。人出はまだ芳しくないが、その所為か却ってイルミネーションの艶やかさが際立ち、豊潤に見える。
HTB〜20121213
普段なら素通りしてしまう柿右衛門ギャラリーを覗くと、十四代だったか、当代酒井田柿右衛門の作品を主に花瓶や皿、茶碗など様々な作品が陳列されていた。
濁手と呼ばれる暖かみのある白色に朱が映え、柿右衛門というだけあって柿の絵柄が多い様に見えるが、青の色の繊細な濃淡等も描き分けが利いている。もっとくすんだ或いは曖昧な色使いを想像していたが、実物は思いの外平明でくっきりした絵柄と色合いのものであった。
家にあっても良さそうな食器も幾つかあったが、値札を見て苦笑い。例えば、柿右衛門と共に「有田の三右衛門」の一角に挙げられる源右衛門などと比べると確実に0の数の一桁違うお値段の宜しさに思わず後ずさりした。譬え購入してもこの金額では、普段使うものとしては気後れがしてしまうだろう。
ハウステンボスを出る時、空の様子を窺うと概ね晴れの空。上り始めた冬の星々が東の空に瞬いていた。


(追記)
12月13日深夜から14日明け方にかけては今年のふたご座流星群の観測好機。月明かりもなく、比較的暗めの流星まで見えるだろうとのこと。ただ残念なことにピークは午前8時頃で、既に陽の出てしまっている時間帯である。その為余り乗気ではないが、夜半過ぎと今朝未明に数分間外へ出てみただけで二筋程星が流れた。
結局じっくり観る為にわざわざ外出することもせず引籠ってしまったが、極大時刻にはどの程度流星が観測されたのだろう。大陸の内陸辺りからならよく見えたのだろうか。取敢えず、こちらは朝から雨になった。
posted by 紫乃薇春 at 23:11 | Comment(0) | 日記

2012年12月12日

木下惠介100歳

木下惠介百歳〜20121212

今年2012年は映画監督・木下惠介の生誕100年に当たる。12月5日がその誕生日であった。迂闊にもつい先日まで、同じ松竹の先輩に当たる小津安二郎の誕生日と混同―もしくは取違えていて、この12月12日をその日と誤って覚えていた。因みに本日は小津安二郎の109回目の誕生日であり、同時に49回目の命日である。
5日にはしかしながら奇しくも(皮肉にも?)木下監督の『花咲く港』をDVDにて鑑賞していた処だった。この『花咲く港』と『カルメン故郷に帰る』のどちらかをその誕生日に観ようと思っていた処で、その意味では奇遇なのだが、しかし気持は『カルメン』に傾いていただけに、自身の手抜かりとはいえ一杯喰わされた気になった。

『花咲く港』は1943年に公開された、木下惠介の初監督作品である。同年には黒澤明も『姿三四郎』でデビューし、所謂戦時中ではあるが日本映画界においては未来に続く光明の年でもあった(尚、翌1944年には川島雄三が『還ってきた男』でデビューしている)。
時勢に違わず本来は国策映画として企画された作品であるが、南九州の離島を舞台に一人一人の濃い性格付けを通して、木下惠介は現代でも充分に見応えある喜劇を創り上げている。その後の妥協しない慎重さで普遍性と完成度の高い作品群を連ねてゆく黒澤に比べ、木下の方は(妥協はないのだろうが)やや性急で綻びた作品をしばしば産み落とすことになるのだが、こと処女作に関しては木下の方が普遍性に勝っている様に見える。思えば、木下惠介という人は早熟の天才だったのだろう。新しモノ好きという性格も初期の活動においては殊に活きて働いたのかも知れない。尤もそれが最大限に発揮されるのは、1951年公開の『カルメン故郷に帰る』であるが。
戦前の松竹を支えた二人の「ヤスジロウ」の一方・島津保次郎の下で助監督を務め、手腕を認められたのか優秀なスタッフに囲まれ、画も音声も戦時中の作品としては実に綺麗である(現代のリマスタリングの賜物でもあるのだろうが)。
キャストにもまた恵まれた。笠智衆や東野英治郎、坂本武といった当時の所謂「小津組」の役者達(上原謙も或る意味そうだ)、実力派の小沢栄太郎や東山千栄子、村瀬幸子、後にテレビドラマで味のある父親役を多く演じる大坂志郎が当時はまだ初々しい新人として出ており、水戸光子や槇芙佐子といったクセのある綺麗どころも配している。主人公は離島を訪れる二人のペテン師で、どう見ても胡散臭い「渡瀬健介」(野長瀬修三)を演じる小沢栄太郎は正しく怪演という他ないが、辿々しいズーズー弁が妙に滑稽な上原謙も魅力的。とかく美貌だが演技は…と揶揄されがちな俳優だがこの映画では実に生き生きとして、内容の薄いロマンスの二枚目役が多いが本領は喜劇役者なのだと想わせる。
面白おかしい場面ばかりでなく、槇芙佐子扮するせつ子の父・袈裟治の乗った鰹船が米国の潜水艦に撃たれて沈んだというくだりに悲哀が、そして本来の国策映画としての背景が垣間見える。ペテン師二人が、舞台である離島で嘗て造船所を造ろうとして尊敬を集めた人物の遺児を名乗るのもまた同様である。物語の合間に米英との宣戦布告のエピソードが挟まる辺り、確かに時代を匂わせる。『二十四の瞳』等戦後の作品では登場人物に反戦の含みを語らせることもしばしばあった木下惠介だが、1943年の本作ではさすがにそれは伏せられている。

当日観るつもりでいた『カルメン故郷に帰る』は1951年に発表された日本初の長編カラー(総天然色)映画。綴れば幾らでもネタの出てくる作品であり敢えて多くは書かないが、続編に『カルメン純情す』(1952)を持ち当初は三部作となる予定であったという。如何な理由で二作のみで終ってしまったのかは知らないが、三作目も是非観てみたかったと頗る残念に思える作品。
因みに『カルメン故郷に帰る』はカラーであるが、『カルメン純情す』はモノクロであり、木下監督自身のカラー次回作は1958年の『喜びも悲しみも幾歳月』まで待たねばならなかった。『カルメン』のフィルムは富士フイルムによる国産であるが、当時のカラー・フィルムは感光性が悪く、晴れた日の昼間かギンギラの照明を使用しなければ上手く写らず、現場では相当に手を焼いたのではないかと思う。『カルメン故郷に帰る』はカラー版と並行してモノクロ版も撮られたと云われ、近頃ブルーレイのみの特典として出回っているそうだが、再生する環境が今の処ない。是非観てみたいので、DVDでも発売するか、出来れば全国の映画館での上映を望む処だ。

木下惠介の誕生日・12月5日はまた、私の最も敬愛する女優・香川京子さんの誕生日でもある。こちらは1931年生れで今年81歳になられた。
以前日本映画学校が主催した黒澤明特集で、何日目だか忘れたがゲストとしていらしていた。その際恥外聞も知らず、ミーハー丸出しで色紙と花束を携えひと時の会話と共にサインを頂いたことがある。その頃で既に還暦を過ぎていらしたが若々しさと落着いた物腰が麗しく、背の高さと姿勢の良さ、鼻筋の立派さに見とれ赤面して舞い上がってしまった。
早くからフリーに転身したおかげで様々な名匠・巨匠監督の作品に出演し、ファンを喜ばせてくれる香川さんだが、どういう訳か木下惠介監督の作品(映画)には一度も出演していない。出来ることなら木下作品での彼女ともお逢いしてみたかった。
posted by 紫乃薇春 at 22:54 | Comment(0) | 映画

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