2011年12月27日

星見日記〜12/27

年末の大きな催しも終り、年越しまで片手で足りる程に迫った。
ウェザーニューズから昨日お知らせが届き、今朝早く宇宙花火なる現象が観られるかも知れないとのこと。宇宙花火とは「宇宙航空研究開発機構(JAXA)などのチームが行った実験で、宇宙と大気の境界域(電離圏)での大気の動きを探るための実験で放出されたリチウムが太陽光を受け赤く光りながら球状に広がるために付けられた通称」(Wikipedia)だそうで、2007年の9月に第1回が行われ、今回が2度目の実験となる。
リチウムガス放出の為のロケットは鹿児島の肝属郡にあるJAXAから打上げられ、その為見える範囲はほぼ西日本に限られ、九州からは南東もしくは南の空に、四国及び中国地方では南空、近畿地方では南西の空に見えるらしい。但し上空100kmから300kmくらいの範囲での放出というが、実視高度はかなり低めと思われる為、西日本であっても太平洋側でないと必ずしも好適とは云えない。長崎県北は九州の中では現地から最も遠く、人工的ではあっても稀な現象なので楽しみではあるが、果たしてきちんと観られるものか甚だ疑問ではあった。
或る程度事前に知っていれば然るべき場所への移動も考えたが、数時間前に唐突に得た情報では動き難い。付近の山上―佐世保の弓張岳か県境の国見峠辺りまで行くことも思いはしたが面倒になり、自宅のマンションの階段から眺めるだけにした。

ロケットは午前5時47分打上予定、リチウムガスの放出はその約6分後とのこと。5時過ぎには防寒対策等身仕度を施して外に出てみた。クリスマスの両日には小雪が舞うなどこの数日はとにかく冷込みが厳しい。気づいたら足の親指の先に軽い霜焼けが出来ていて、幼少の頃は酷い霜焼け症だったことを思い出しながら、いつの間にか殆ど患うこともなくなっていたので久し振りに味わう不快感。だがそれで済めば良いので、年の瀬に大風邪でも引いたら厄介なことになる。
日付の変る頃と未明の3時くらいにベランダに出た時は空がかなり靄に覆われ、辛うじて1等星がぼんやり見える程度だった。そのままの空が続けば仮に観られる高さで放出があってもガスの淡い光は望めないだろうと思った。幸い空は澄み始め、星座の形を追える程には見える様になった。まだ12月だが、明け方間近ともなれば春の星星が顔を出す。いち早く上る獅子座は既に南中し、宇宙花火が見えるかも知れない南東の方角には土星と乙女座のスピカが双子の様に並んでいた。その東には牛飼座が横たわり、その下には小さいが際立つ弧を描く冠座の姿も見えた。牛飼座の1等星・アークトゥルスは春先の日没後にいち早く輝く為「麦刈り星」の異名を持つとも云われるが、個人的には嘗て鎌倉に棲んでいた頃初詣の寺社巡りで荏柄天神〜鎌倉宮と歩いて瑞泉寺まで行き、お参りして下山する時に向かいに見えるV字の稜線の一番谷底に顔を出す。それが丁度先行する獅子座と北斗七星を二頭の馬に見立て、手綱を握る要の様に見える。年明けの未明に春の上昇気流を想わせて、殊に印象深く見つめながら歩いた記憶がある。
しかし、自宅から南東方面を改めて望むと、遠くの丘が思いの外邪魔になる。おまけに何らかの施設の照明が眩しく、著しく視界を遮った。これでは余程高く打上げてくれなければ見えないだろうし、高く上がっても光が淡ければやはり掻消されてしまいそうだ。残念に思ったが、今更移動しても後の祭に違いない。

打上予定の5時47分を過ぎ、更にその6分後の53分を過ぎたが、宇宙花火と思しき光源は全く観られなかった。50分頃に一瞬、丘の縁が明るくなった様な気がしたが、もしそれが宇宙花火によるものだとすれば光源そのものは稜線の陰に隠れて結局見えないということだ。
もう暫く、6時過ぎるくらいまでは粘ろうと佇んでいたが、相方がTwitter等調べつつ、あれ?、と声を上げたのでどうした?と訊くと、「宇宙花火今朝は中止だって」と落胆した様に答えた。何?、と訊き返しながらふと視線を東に向けた。
何やら顕著な橙色の光がゆっくりと、牛飼座の下、冠座より更に地平に近いヘルクレス座の辺りを北から南へ動いてゆく。最初は低空を飛ぶ飛行機かと思い、次に誰かがこんな真冬の明け方に玩具花火でも放ったのかと疑った。だがそのいずれでもなく、それは火球だった。
火球、それは巨大な流星である。そういえば今朝はこの前にも二度程、やや明るめの流星を観ていた。双子座流星群のピークからは既に遠ざかっているが、まだ名残があるのか。それとも、来る年明けの四分儀座流星群の走りだろうか。火球といえば2001年の獅子座流星群で幾つか惚れ惚れする様な巨きさのものを見たが、今朝見えたものはその時のどれよりも大きく、正に特大の火球であった。
現地の天候が不良なのか結局中止が本決まりとなった宇宙花火などよりこの火球の方が余程衝撃的ではなかったかと思うのだが、咄嗟にそちらにレンズを向けようとしなかった自らの融通の無さを悔やんだ。

中止、というより延期となった宇宙花火、次回は年明けの1月8日以降の予定とのこと。
はっきりした日時がわかれば今度はより観易い南方まで予め出ておくことも検討したいが、人の都合で今朝の様に容易に変更あり得るものだけに余り積極的にはなれそうもない。

星見日記〜20111227壱

星見日記〜20111227弐

星見日記〜20111227参

写真1:夜景/中央やや上に土星と乙女座のスピカ
写真2:乙女座のスピカ(右)と土星(左)
写真3:牛飼座(上部)と冠座(中央やや左下部)・その付近


posted by 紫乃薇春 at 23:20 | Comment(0) | 星見日記

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