2011年12月15日

双子座流星群

昨年は天候不順でまともに観られずじまいだった双子座流星群であるが、今年は幸い晴天に恵まれた。2年前長崎の地に来て最初のシーズンは、佐世保の弓張岳に上って観た記憶がある(但し同年及び翌年のしし座流星群も同岳の山上公園に赴いて観たので、その時の記憶と混同している惧れもある)。しかし今年はつい数日前に同所にて奇怪な出来事があり、直後には行くのが憚られた。とはいえ他に適所があるかと、少々頭を悩ませた。西海の各所や佐賀へ向かう途中の山間など車窓越しにも星のよく見える箇所が結構ありはするが、流星の光というのは淡くまた一瞬である。頻繁に自動車の通る場所は適さない。柚木の里美地区をはじめ各地に点在する蛍の名所なら恐らく車の通りもまばらだが、四方を山に囲まれ視界の狭い処が多くこれも流星を観るにはいささか不都合である。
あれこれ迷う内にふと思い当たったのが国見峠。佐世保市の柚木から佐賀の北西部へと抜ける山越の道である。峠付近の国見トンネルを潜った佐賀側には公園があり、展望台があった筈。車通りは思いの外多いが、展望台に上がればさほど邪魔にもならないだろう。おまけに東の空に見通しが利くので、上り始めた双子座を視野に含めつつ観望するにも良さそうであった。

国見道路は佐世保と伊万里を結ぶ道であるが、峠の一帯は佐賀県の有田町に属する。有田というと陶器市で名高い佐世保線沿線の有田駅、上有田駅周辺の印象が個人的には強いが、その町域は案外広い。尤も平成の施策で2006年に旧有田町と合併するまでこの辺りは西有田町だった様であるが、旧西有田町の域というのも思いの外広く、松浦鉄道伊万里〜有田間の現有田町に属する区間の大半は嘗ての西有田地区に当たる。昨年の4月に付近で土砂崩れがあり暫く通行止めとされていたが、今年の7月に漸く復旧した。
峠の公園は国見湖畔公園と呼ばれ、確かに水の畔にあるがとても湖と云える代物ではなく、所謂溜池である。だが傍の杉木立などと調和しささやかながら憩いの景観を形作っている。土砂災害の発生以前に一度、復旧後は幾度かこの道を通り公園の駐車場に停めたこともあるがいつも明るい内に訪ねて下の駐車場と傍の自販機等の施設を利用するのみで、夜間訪れるのは初めてである。高台になっている箇所は広く展望公園が築かれているのかと思ったらそうではなく、大半が駐車場で取囲む様に歩道が設けられ一隅に木造の小さな展望台が建っている。但し昨晩着いた時には先客は誰もおらず、駐車場の真中に佇んでいても咎める者はいなかった。
天候には恵まれたが当夜は双子座の割と近く、蟹座の辺りに月があり、流星を観るのに必ずしも好条件とは云えなかった。殊に東の開けた場所では夜の9時過ぎには双子座を追う様に月が顔を出す。従って日没後、双子座が上り始めてからそれまでの1、2時間程が観望の好機と思われた。
その時間に間に合う様行くつもりであったが、諸用に捕らわれて結局出足が遅くなってしまい、現地に着いたのは丁度21時頃。道路脇の駐車場に停めて東の空を窺うと、既に月は上り始めていた。だがまだ低空にあり赤く薄暗い。今ならまだ流星を観るのにさほど差障りないだろうと急いで準備をし、高台に上がるその途中で「あ」と小さな呻きを漏らす間もなく、オリオン座のすぐ脇を流星が一筋駆抜けていった。

月は見る間に高度を増して月らしい輝きを放ち出していた。高台から東の方角に幾本かの木立があり、その陰に月を留めることが出来たけれども束の間。しかしその後は何処からか棚引いてきた雲が月明りを遮り、おかげで暫くは好機が続いた。さして広い雲ではないので邪魔にもならず、夜空を観るのにいつもなら好ましからざる客であるがこの時ばかりは却って歓迎した。
それから23時近くまで滞在して、観られた流星は20から30程だろうか。同行した相方とはしばしば別の方角を向きながら観ており、相方が見えたと云って私が見逃した分も多々あり合わせれば40〜50くらいは流れていたと思う。途中月が高く上ってからは遮るものもなく路面にはっきり影の差す程明るかったので、暗めの流星は恐らく見えなかったであろうことを考えると、あながちピークを外してはいなかったに違いない。月の影響が少ない間に沢山の流星を観られたことは幸運だった。滞在中には幾組か同公園に立寄る客があり、その内の幾人かは同様に流星群が目当てであると見えた。
それにしても月明りというものはその他の天体を観望、或いは観測する上で想像以上の脅威である。現地到着時にはカシオペア座からペルセウス座付近に架かる天の川が薄らと見える程星が多かったが、時間の経過と共に見る見るその数を減らしていった。僅か数日前には主役であった筈の月が、観賞の対象が変った途端邪魔者と化してしまう晩でもあった。

懲りもせずまたカメラを持出し、天体写真の撮影を試みた。資金不足、勉強不足が相俟って専門的な器具は殆ど持合わせておらず、どんなに粘り頑張ってみたところで撮れる写真はお粗末でしかないのだが、そこは下手の横好きという表現を借りてお茶を濁したい。
1枚目は当夜の主役・双子座とその周辺を収めたものである。画面右側に一見流星の様な光筋が写っているが、これは偶々その方向を飛んでいた飛行機が紛れ込んでしまったものである。よく見れば一定感覚で赤いシグナルが写っているのがわかるだろう。
昨晩は航空機の数がやけに多く同様に飛行機を写し込んでしまった写真が他にも数枚あるが、しかし実は初めて、本当に流星を捉えることにも成功した。とはいえ写った光は本当に淡く、画像の明度をかなり上げないと判別出来ない程度のものであった。2枚目の写真がそれであり、画面中央よりやや右寄りに垂直から僅かに上部を右に傾けた格好で写っている。パソコンで見ればわかるが、携帯のディスプレイで閲覧の場合は見出せない程か細い。尚、画面左側にはペガススの四辺形が写っている。これでもなるべく見え易い様にと弄った挙句、かなり画質が粗くなってしまった。
天体イベントを求めて赴いた晩のことであるので星の写真ばかりを載せるつもりでいたが、月が高く上った所為で星が捉え難くなった反面周囲の様子が夜間と思えず見易くなった。おかげで湖畔公園の由来でもある溜池の水面が木立の陰から浮かび上がり、思わず写した写真が思いの外よく撮れた。最早何を目的で訪れたのか不明になりつつあるが、3枚目にはそれを載せてみた。

双子座流星群〜20111214-1215壱

双子座流星群〜20111214-1215弐

双子座流星群〜20111214-1215参


posted by 紫乃薇春 at 21:48 | Comment(0) | 星見日記

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