2011年12月04日

たまゆらの夕べ

御船山楽園による紅葉ライトアップ「たまゆらの夕べ」を昨夜相方と見物した。週の頭に訪れた時は既に色も峠を越す処。前日、前々日には不順な天気が続いたこともあり当日の空模様も心配したが、強風は収まらぬものの雨は朝までに止み、昼頃には晴れ間が覗いた。
出来れば少し早い時間に出て日中の紅葉も再度眺めたかったが、もたもたする間に日は落ちて、着いた頃は既にすっかり暮れていた。

週末の渋滞に嵌ることもなく、道中は比較的快調だった。時々遅い車に先導され列の出来ることもあったが、詰まって停まることはなく済んだ。
ただ、途中で一度北の空が鋭く光った。稲光だろうか。御船山楽園に着き、駐車場に車を停める間際に再度閃光が瞬いた。車を降りて空を仰ぐと雲がまた出始めていたが、さほど分厚くは見えなかった。但し夜目なので見誤りはあったかも知れない。
週の初めに来た時は汗ばむくらい温暖で念の為着ていた厚手の上着が徒になる程だったが、二日続きの雨の後昨日は随分冷込んだ。しかし御船山に着いてからはそれまでの強風がほぼ止んだこともあり一桁表示の気温程の寒さは感じられなかった。

「たまゆら」とはほんの僅かな時間、或いは一瞬という意味を差す。御船山楽園が紅葉夜景にたまゆらと付けた訳をあれこれ考えていた。何となく思いつくものは幾つかあるが、どれもこじつけの様に思えた。浅薄な私の想像では至りもしない深い意味を込めているのかも知れないし、或いはたまゆらという響きの良さを用いただけかも知れない。そういえばたまゆらとは漢字では「玉響」と書く。微かな様とこの字とどう結びつくのか、当て字の類かも知れないが、それでは「ゆら」に「響」の字が果たして相応しいのか。尤も「ゆら」を「揺らぎ」と捉えれば「響き」を「音」とした場合これは大気の振動=揺らぎであり、意味の通じないことではない。
そんな他愛もない想いをくゆらせながら受付で券を買い、門をくぐった。
たまゆらの夕べ〜20111203-1204壱
夜桜は毎年何処かでお目にかかるが、夜紅葉というのは仲々見ない。いや、あくまで個人的にであって例えば京都の名所等ではお馴染みだろうし、その辺りの道端でも夜の紅葉に出くわすことはあるが、大抵は暗い中、肝心の色もよくわからずに通り過ぎてしまう。
その為新鮮な気分と訝しさと半々で訪ねたのだが、門の外からも垣間見られる夜灯りに浮かぶ紅葉は実に美しいものだった。実際は週初めと比べても葉の色が錆びてきており、もっと早く来れば尚艶やかな景色を拝めたろうにと思うと少々残念ではあったが、紅葉だけでなく周囲の常緑や白い樹肌と鮮やかに、また妖しげに調和を成して見応え充分だった。
幽玄とも夢幻とも表せぬ色を眺めながら、ふと源氏物語を思い出していた。確かに、「紅葉賀」という巻があったが、第七帖は光源氏がまだ18、9の頃の話で、果たしてどれだけ紅葉に情を感じられたか疑問が湧く。尤も内容は朱雀院50歳の祝賀と藤壺女御の出産・立后、後半に源典侍を巡る寸劇が語られるもので、紅葉は青海波を舞う場面における舞台装置の一部に過ぎない。
たまゆらの夕べ〜20111203-1204弐
さして広くはない園内の池の畔をゆっくり巡り、ライトアップされた紅葉の様々な姿を堪能していたが、半周もしない内にポツ、と滴が頬を打ち、俄かに本降りの雨が降出した。構わずじっくり進みたかったが、そうも云ってられないくらいの雨だ。先刻見た閃光はやはり稲光だったに違いない。今いる池の対岸まで行けば萩野尾という御茶屋がある。そこまで行けば当座は凌げるだろう。
そこからは景色を眺める余裕もなく足早に歩いて一目散に萩野尾を目指した。入口から先は各々で、と先に進んだ相方は既に御茶屋に上がっていた。相方の頼んだ抹茶と善哉が美味しそうなので私も頼み、頂いた。善哉、というが長らく関東住いだった私には汁粉の方がピンと来るものだ。元々はどちらかと云えば苦手な部類だったが、大阪・法善寺横丁の夫婦善哉を以前食してから、この手の甘味も悪くないと思える様になった。萩野尾茶屋の善哉は法善寺のそれに近い、飲み易いものだ。
たまゆらの夕べ〜20111203-1204参
善哉を完食し、抹茶で喉を潤し体が温まると、いつの間にか雨は止んでいた。御茶屋から見える紅葉夜景のハイライトとも云われる景観に文字通り心を奪われながら天を見上げると、空はすっかり晴れている。上り始めた冬の星星を導く様に上弦の月が天頂を照らしていた。
相方が云うには、今度の満月は皆既月食となるらしい。蝕は夜半前に始まる為観易い時間ではあるが、天候の変り易い近頃はそちらが心配である。
抹茶と善哉で温もった体も、浴びた雨粒が退くと共に忽ち冷えた。最後は晩秋の寒さを背負いつつ、御船山楽園を辞した。


posted by 紫乃薇春 at 22:37 | Comment(0) | 日記

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