二十四節気の今日は立夏。五月連休の最中に夏、と云われてもピンと来ないが、夏の気配を感じ始める頃というなら確かにそうなのだろう。四月の末に大阪へ行き戻ってきて以来雨がちの日が続いたが、暦を見計らったかの様に昨日から回復し、今日は強い陽射しの下汗ばむ程の陽気となった。

陽射しといえば今月21日には日本の幾つかの地域で金環食が観られるらしい。関東から東海、紀伊半島を経て四国の大部分及び九州中南部に至るまで、かなり幅広い場所で帯状に観測出来るとのこと。しかし残念なことに九州北部のここ長崎は外れてしまっている。最大時でも南側の一部に欠けの生じた部分食にしかならない。日食用の眼鏡は一応購入したものの、今ひとつ気分が高揚しないのはその為だ。
昨夏の夜を彩った世界花火師競技会が今年もハウステンボスで開催される。既に予選は始まっており、今夜は新潟県小千谷市から片貝の花火師団体が名乗りを挙げた。
小千谷といえば私の父の縁の地。それだけでもう思い入れるに足る理由ではあるのだが、その花火は伝統的で素晴らしいものと幼い頃より聞かされて育った。小千谷というより「片貝の花火」であることに誇りを持っているらしい。何より、国内で初めて三尺玉の打上げに成功した自負の様なものがあるだろう。お隣の長岡が競う様に開発に取組むおかげで今では四尺玉などという花火もあるらしいが、嘗ては三尺玉でも奇跡に近い偉業だったと聞く。これまでハウステンボスにおける花火師競技会では大玉でも尺玉止まりなので片貝には三尺を期待したいが、海上にて艀から上げるとなると反動に伴う危険も並大抵ではない。やはり尺玉が限度だろうと思った。
尤も近頃は大輪の花火を単発で咲かせるより、やや小玉でも連続して次から次へと花開くスターマインやハート形、花や顔の形を象った造形花火、またそれらを組合せて同時に複数の花火を連発する方がより華やかで人気があるのだが、そういう現代的なプログラムには果たしてどれだけ対応出来るのか一抹の不安もあった。以前父や親族に連れられて片貝の花火を生で観たことはあるが、何しろまだ小学生の時分のこと。プログラムの狭間で5分近くも間が空いても、大輪が一発上がればそれでやんやの喝采という誠に牧歌的な時代であった。

花火の開始を待つ間、上り始めた月に目を奪われた。そういえば今は丁度月が地球に大接近中で、見かけの大きさが約14%、明るさにしておよそ30%程も増量しているそうだ。尤もそうは云っても通常の月と並べて比較は出来ないので、あくまでも気分的に、心持ち大きく見える様な思いがする、というだけで実際は定かでない。
月の大接近は今だけの特別なものではなく、過去にも、また未来にも周期的に巡りくる現象であるが、ふとお互いの引力に寄せられ過ぎて衝突する処を想像したら怖くなった。質量は地球の80分の1に満たないとは云っても、そんじょそこらの隕石の数万倍はあるだろう。地球が砕けることはなくても深刻な災害が生じ、地上の生き物の殆どが死に絶えるのではあるまいか。
夜8時20分、司会による案内と花火師の自己紹介の後、カウントダウンはなく音楽に合わせて打上げが始まった。
心配しつつも期待した大輪の単発てはなく小輪の連発から始まり、台から直に吹出す(玩具花火で云えば“ドラゴン”の様な)丈の低い花火にハートや星形の造形物を織交ぜ、それぞれに異なるパターンのものを幾つも用意して変化を見せた。打上げの方は最初の小輪から中輪、そして大輪へと高度も次第に増してゆくエスカレート式。最大の華は尺玉を超えて二尺はある様に見えたが、観覧場所がいつもより近かった所為だろうか。

およそ20分程度の開催時間の中で、まず多彩で華々しい第一部、幾分小粒だが楽しい仕掛けが目白押しの第二部、そして息を呑む間もなく畳掛けるラストスパートと大きく分けて三部構成。「連休で御家族連れが多いので、お子さんが観て楽しめる様な内容を」と事前の紹介にあったが、大人が観ても充分堪能出来る内容。フィギュアのスケーターが序盤ジャンプの連続など大技を繰出し、中盤は軽やかなステップで魅せ、最後はジャンプとターンの組合せ等で華麗に締括るのに似ている。いや、とにかく片貝の花火がこうした現代的なプログラムをしかも高い完成度で仕上げたことに安堵し、また感動した。勿論他の参加花火師達も今年は昨年以上の内容を組んでくるのだろうが、片貝が優勝出来れば嬉しいだろうな、と思う。
花火を観終え、パレスハウステンボスまで足を伸ばして、いよいよ明日限りとなったドラゴンクエスト展を観た。
パレスの入口には、もしこの世界に実在するならこれが等身大かと思われる立体スライムがデンと鎮座してお出迎え。展示内容は撮影可能なドラキーやゴーレム等の立体が置かれた一階の「勇者の広間」を抜けて二階へ上がると鳥山明による歴代の登場人物やモンスター等の原画展示「勇者たちのせきひ」と「モンスターたちのすみか」、楽曲を担当したすぎやまこういちによる「音楽のいずみ」、そして撮影可能な竜王像が待ち構える「竜王の間」があり、更に三階には開発資料の数々を展示した「歴史の玉座」と歴代のゲームを実際にプレイ出来る「思い出の部屋」、また最新作について紹介する「ドラゴンクエストXのほこら」と続く。一通り巡り一階に戻ると、喫茶室「LUIDA'S CAFE」(ルイーダズカフェ)と売店「どうぐや」が歓待してくれる。
元々ゲームの類に疎い私にとってドラクエは比較的馴染み深いものであるが、それでも本編は初期の三作(所謂“ロト三部作”)しかやったことがない。しかし、外伝的な作品の幾つかを好んでプレイしており、本編で出会ったことのないモンスターも或る程度知っている。そのおかげで「モンスターたちのすみか」の原画観覧は殊の外楽しめた。
だがドラクエのとどのつまりは私にとってスライムであり、スライムの亜種メタルスライムであり、そしてはぐれメタルである。残念ながらはぐれメタルはどうぐや以外で見かけることがなかったが(異常に早い逃げ足の所為か?)、ゴーレムの陰にコッソリと潜むメタルスライムを見つけた時には思わずニンマリとしてしまった。

posted by 紫乃薇春 at 23:06
|
Comment(0)
|
日記